取材レポート
2021.10.12

LINEを顧客との新たなコミュニケーションに

新鮮食品市場まえがわ(㈱前川食品店) 小堺 智子 さん / 小堺 悟 さん

 

新鮮食品市場まえがわ(福井市順化1の11の20)は、「8のつく日」を特売日に設定しており、以前はチラシを手作りで制作し大量に印刷、それを周囲に配布していました。しかし、人手不足や体調不良、コロナ禍といった要因から顧客とのコミュニケーション方法を変える必要性を痛感し「LINE」を導入。詳しい経緯について同店の小堺智子さんから話を伺いました。


身体的負担軽減のためにデジタルツールを活用

 当店は元々、戦前、公正価格で生活必需品を供給する「公設市場」として始まり、創業から90年を超える町の八百屋です。昔は従業員が大勢いましたが、高齢化などで退職し、4代目にあたる社長(悟さん)とその兄、パートさんの3人で切り盛りしていました。10年ほど前から私も店番や毎月の特売日PRを手伝うようになりました。手作りでチラシを作り、印刷屋で1万円以上かけて印刷、そこからお店の周辺にある会社や住宅に自分で配布して回っていました。時には朝4時からチラシを撒くこともあり、大変な仕事ではありましたが、お客様に当店との交流を持ち続けていただくためにも欠かせないことだと考えていました。この広報活動を9年間続けました。
 しかし、私が坐骨神経痛を患い、体力面で厳しくなりました。社長も日々の配達等で余裕がありません。コロナ禍の影響もあり、これまでの広報活動を見直し、1年ほど前から「LINE for Business(ライン)」の利用を始めました。

ラインが顧客との新たなコミュニケーションツールとして機能しています。

 

コミュニケーションが以前より活性化

 ラインは「友だち(顧客)」にメッセージや画像などを一斉送信でき、お客様と個別にチャット機能でやり取りすることもできます。今までは特売日のPRだけで手いっぱいでしたが、旬な野菜・果物に関する情報を毎日発信できるようになりました。

毎朝欠かさず画像をLINEにアップし、購買意欲をかきたてます。

 社長の目利きで安く仕入れた「訳あり商品」は形や見た目が悪くてスーパー等では販売されませんが、味は確かで常連さんから好評です。メッセージを送信した後すぐに取り置きを依頼する連絡が入ることもあります。取り置きサービスは元々ありましたが、ライン導入後、1日あたり20件以上にも増えました。
 また「電話をかけるほどではないけど確認したいことがある」というお客様も多く「この時期のブドウは甘いですか?」などのような質問が増え、来店時にラインでやりとりした内容で盛り上がることもあります。結果的にコミュニケーションが以前より活発になったと思います。
 ほかにも、電話応対や接客時は完全に身動きが取れなくなりますが、ラインならお問い合わせが来た順に対応することができ、目の前の来店客を待たせることがないので、ストレスを感じることなく仕事を進めることができます。お客様もメッセージに「既読」がついたかどうか識別できるので安心です。

レジの目の前にパソコンを設置し、店内とライン上の顧客の対応をします。

 

地道にLINEを顧客に浸透・波及

 はじめは使い方もわからず、誤って大量の画像を送信してしまったり、一気にメッセージがきてパニックになったりしました。触りながら使い方を学んでいましたが、詳しい人に聞いた方がよかったと思います。また、無料の「フリープラン」から使いはじめましたが、使い慣れてきたことと友だちの数が増えたことから、有料版を購入しました。月額1万数千円かかりますが、チラシの印刷代と大差ないため、コスト面は気になりませんでした。
 友だち数を増やすことも大変でしたが、年配の方を含め常連のお客様はメールよりもラインを利用している割合が高かったこともあり、思ったより浸透できたかと思います。当店を友だち追加することで電話や来店せずとも商品の品揃えの確認や取り置きができるなどといったメリットを説明し、少しずつ増やしていきました。コツコツと続けた甲斐あって、そこから口コミ等でも広がり、9月上旬の時点で1100人以上の
友だち登録をいただいています。
 コロナ禍によって売上が大きく下がり、危機感や不安に苛まれていた中、ラインを通してお客様から励ましの声をいただくこともあり、それも心の支えとなりました。ライン導入前からですが、これまで培ってきたお客様との繋がりが当店の財産です。昔と方法こそ変わりましたが、その繋がりを維持し続けることができたことが一番の収穫だったと思います。

 

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