取材レポート
2022.05.10

社外人材が背中を押した‼若き社長の実践DX

㈱かゞみや
代表取締役 木瀬 將盛  さん

 

「ありがとうございます。かゞみやです」のCMフレーズを覚えている方も多いはず。㈱かゞみや(本社・福井市城東4-1-25)は、福井特産の土産や贈答品を買い求める顧客から長く支持されています。31歳で父とともに代表取締役を務めることとなった木瀬將盛社長のもと、同社ではデジタルマーケティングに取り組んでいます。しかし、当初は社内にデジタルツールに精通した従業員がおらず、思うように推進できずにいました。今回は同社のユニークなデジタル化推進方法について、木瀬社長に伺いました。


外部の人材とマーケティングチームを結成

 

私たち「かゞみや」は、祖父や父がお客様との信頼関係を築き上げ、福井のお土産屋さんとして定着して参りました。長くご愛顧いただけていることについては感謝しかありません。ただ、時代の流れとともに新たな顧客を獲得していかなければなりませんし、そのためには従来のマーケティング手法についても見直す必要があると考えていました。

テレビ世代でもある40代以上の顧客は、CMによる宣伝が効果的でしたが、今の20~30代はあまりテレビを視聴せず、YouTubeやサブスクリプション(定額制)等の動画配信サービスをよく見る傾向にあります。

また、お中元やお歳暮の時期にはチラシを作って広報していますが、いつでもどこでも簡単にインターネットを利用できる時代ですので、紙媒体の広報だけでは新規顧客獲得には繋がらないと思います。

自社の課題を認識した上で、YouTubeやGoogleの無料サービス等を活用してみようと思いましたが、従業員の中に詳しい者がおらず、私自身も身近なツールに関して知っているようで知らないことを痛感しました。そんな時、昨年11月に縁あって福井市主催のプロジェクトに参画、外部人材の力を借りる機会をいただきました。

福井市主催(福井新聞社等運営)の「INTERWEAVE」。
プロジェクトメンバーは20~30代の若い方中心に構成されました。
実店舗のレイアウトに関する率直な意見をもらう機会にも。

 

誰もがはじめはビギナー

いざ実践へ

 

まず、プロジェクトのメンバーに当社が抱える課題について説明しました。また、取引先である地元企業の製品を仕入れる立場として、私たちが大切にしている「お客様に商品の魅力を映し出す鏡でありたい」という思いも赤裸々に伝えました。

それから私も加わりながら、皆でアイデアを出し合った結果、デジタルマーケティングの一環として福井県出身の女性YouTuberとコラボすることになりました。内容は「かゞみやで1万円分の買い物をして、おすすめの商品を紹介してもらう」というものです。

動画が投稿された後、視聴に関する分析の結果を見せてもらったところ、1,500人以上の方が視聴しており、たくさんの高評価をいただいていたことが分かりました。また、視聴者の約5割がメインターゲットに設定していた18歳から30代半ばの方である一方で、40代後半から50代半ばの方も約3割いたことが判明しました。ほかにも、SNSの中ではFacebookを経由して動画を視聴するパターンが最も多いこともデータから読み取れました。

動画を活用したマーケティングに手応えを感じつつ、これを機に、まずは社長である私が実際にやってみようと決心できました。なんとなくハードルが高いように見えていましたが、誰もが最初からクオリティの高い動画を作れるわけではありませんし、触れてみながら自分自身に落とし込んでいくことが大切だと思います。

さっそく取引先でもある酒蔵の杜氏に声をかけ、日本酒の特徴や製造工程の説明動画を作成してみました。また、日本酒とそれに合う肴、さらに紹介動画を組み込んだ商品を福井の特産品宴会セットとして販売開始するなど、新企画も始めています。

商品紹介動画も取引先と消費者との接点を作る媒体に。
YouTubeに田嶋酒造さんとのタイアップ動画が公開されています。

 

社外の人材とのタッグが

デジタル化推進の契機に

 

今回、業務の合間を縫って進めたためかなり大変でしたが、第三者である外部の方と一緒に取り組んだことで、「やりたい!」で止まっていたことが実践できて良かったです。これに従業員は関わりませんでしたが、メディアに取り上げられたことで、社内に向けて「新しいことをやるぞ」というメッセージとなり、デジタル化推進の機運が高まりました。今後はGoogleフォームを活用し、お客様の希望するシーンや価格帯等に合わせた贈り物を提案するサービスも検討しています。

やろうと思えば実店舗をなくし、ネット店舗だけで経営していくことも可能かもしれません。そうすればコストも下げることができるでしょう。しかし、これまで福井のお菓子や特産品を作る地元企業と顧客との接点を保ち続ける役割を担ってきましたし、これからもそうありたいと考えています。その繋がりを強化していくため、デジタル技術をうまく活用していきたいと思います。