6月21日(火)、DX推進のヒントを探る勉強会「DX寅の穴」を開催致しました。第1回は、慣れ親しんだ業務を打破し、デジタル化によって成果を上げている県内中堅企業2社から取組み内容について発表いただき、その後グループに分かれて意見交換を行いました。
第1部 DX取組み事例紹介
【事例発表①】若手2名、初心者でもできた!動画で始めるDX
松浦機械製作所の取締役DX推進室長を務める松浦悠人氏。同室は当初、松浦室長と若手1名のみで発足しました。
工作機械製造業の株式会社松浦機械製作所(福井市)は、営業の強みとしていた自社工場案内がコロナ禍により困難に。そこで、知識ゼロの状態から新たなデジタルマーケティングとして動画制作に乗り出しました。
同社が1年間で作った動画は300本にのぼります。撮影から編集まで、すべて自社で行っています。
DX推進室が率先して動画制作に乗り出し、会社全体に動画を活用する風土を醸成しました。「動画にすると他社に技術を盗まれる」等の懸念から、動画配信に反発する意見も社内で挙がったものの、それら一つ一つに向き合い、解決策を提示することで納得させていきました。動画制作を続けた結果、新規顧客の獲得や就活生へのアピールにも繋がりました。
当所IT専門相談員で当日コーディネータを務めた佐藤宏隆さんは、「『できない理由ではなく、できる理由を探す』という松浦室長のセリフはまさにキーワード。スモールスタートで広げ、継続することが大事」とコメントしました。
【事例発表②】DX?叫ばれる前からやってます!活用アプリは100本超え!
清川メッキ工業の清川卓二専務取締役(左)と武内加寿也総務課長(右)。同社は「人を主役にするためのDX」に取り組んでいます。
めっき加工・技術開発の清川メッキ工業株式会社(福井市)は、従業員の創造力を最大限引き出すため、様々なアプリ・ソフトを活用し業務のデジタル化にいち早く取り組みました。
残業や有休申請等の事務手続き、BCP対策(安否確認等)、顧客情報管理システムなどアプリを活用したデジタル化は多岐にわたります。同社はDX推進にあたり、専門チームを設けるのではなく、既存の部門単位で取り組んでいます。各部門長へ組織規模に合わせた予算権限を付与し、「こんなデジタルツールを導入したい」といった社員からの提案にスピード感をもって対応しています。さらに、そのデジタルツールを一部署だけに留めるのではなく、社内共有のデータベース上にツールの情報を集積します。これにより、部門を超えてノウハウを分かち合う、「円組織」体制を構築しました。
清川メッキ工業の「円組織」イメージ
同社は、デジタル化を積極的に進めることで、人にしかできない仕事を突き詰め、社員の創造力を存分に発揮できる環境を作るべきだと考えています。「できることはどんどんデジタル化しないと、競争に勝てなくなる」と清川専務は熱く語っていました。
コーディネータの佐藤さんは「経営幹部は現場の意見を積極的に吸い上げ、社員にもデジタル化を自分事として捉えてもらうことが、DXを社内に浸透させるために必要なこと」と総括していました。
第2部 理想のDX推進リーダー像について意見交換
グループ交流には事例発表した清川専務、武内課長、松浦室長、佐藤コーディネータも加わりました。
事例紹介の後、グループに分かれ、「DXを進めるリーダーに求められる素質は何か?」をテーマに意見交換しました。回答をリアルタイムに表示できるアンケートアプリを用い、各参加者がスマートフォンで回答を投稿、その回答一覧を会場内のスクリーンに投影しました。
参加者の回答はスクリーン上にリアルタイムに表示。
DX推進に必要な姿勢として「他の社員を巻き込む力」が多く挙げられた一方、「自分から巻き込まれに行く」ことで社員の課題解決に寄り添うことも大事だという経営者の意見もありました。
各テーブルで自社の取組みや課題、一社員として抱える悩みなど活発に情報交換が行われ、盛況のうちに終了となりました。
※第2回「DX寅の穴」は2022年8月24日(水)の開催を予定しています。自社のDX推進についてヒントを探るべく、ぜひともご参加ください。